投資に興味があるけれど、生活に困る事態に陥ることになる金額を最初から投資に回すことは得策だとは言えません。まずは、いくら貯金ができたら株式などの資産運用を始めてもよいのか、ということを考えてみましょう。
投資を始めるのは基本的には6ヶ月分の生活費を貯めた後にしましょう。毎月20万円で生活ができる方の場合は120万円程度と考えて。このお金は株式などのリスク資産から隔離をして預金や個人向け国債など元本の安全性が高い商品で備えましょう。
なぜ6ヶ月分も必要かというと、万一の際の失業や病気リスクに備えたいからです。会社を辞めた場合、退職後すぐに失業給付をもらえるわけではありません。ハローワークで手続きをした日から通算して7日間の待機期間があります。自己都合の場合はこれに加えて3カ月間の支給制限があるのです。そのために半年分程度の余裕資金が欲しいのです。
失業給付の金額はざっくり日給の5~8割程度です。年齢によってもらえる上限があります。30歳未満では6,710円、30歳以上45歳未満の人は日額7,455円まで、45歳以上60歳未満は8,205円、60歳以上65歳未満は7,042円です(平成29年8月1日現在)。
また、もらえるお金もあれば出ていくお金もあります。住民税、国民年金保険料(月額16,340円)、健康保険料などを支払う必要があるからです。住民税は前年分の収入に対する金額が請求されます。12分割で給与天引きされていたものを4分割で納めることになりますのでその金額は大きいのです。このような理由から最低6ヶ月分の生活費は安全資産で確保しておきたいのです。
限られた収入の中からどのようにして余裕資金を捻出すればよいのでしょうか?毎月定額で投資にお金を回すには、まずは固定費から節約をする方がよいです。定額の支出を減らすことができればその分は毎月余裕が出るからです。オススメは自動車、通信費、保険料などの見直しです。
都心に住んでいる場合は自動車が本当に必要なのか考え直してみましょう。利用頻度が低いならカーシェアリングやレンタカーの方が割安になる場合もあります。また、通信費は格安スマホに見直すなどをすると料金を減らすことができます。
毎月の保険料もとても大きな支出になります。総務省の家計調査2016度によると、1ヵ月の保険料の全国平均は約2万4038円です(二人以上の世帯のうち勤労者世帯)。
保険をリストラする方法は至ってシンプルです。たった2つのポイントさえおさえておけば、生命保険、医療保険、損害保険を考える際に、当てはめることが可能です。
> __ポイント1 保障を絞る__
生命保険は一家の大黒柱の万一に備える遺族保障を目的にする保険です。そのために独身の人は基本的には必要がありません。
生命保険加入金額の平均は、男性で2,043万円、女性で944万円というデータがあります(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」平成22年度)。私がアドバイスしている目安は、「ざっくりと子どもの教育費として一人当たり1,000万円(子どもの成長に伴い必要保障額は減らせる)、家族の傷が癒えるまでの2〜3年間の生活費として年収の3倍程度」というものです。
例えば、年収500万円で小さなお子さんが1人いる場合は2,500万円ということになりますが、貯金や入っている保険(学資保険など)、持ち家など資産がある場合はその分だけ保障を減らしてもよいでしょう。
会社の福利厚生(遺族弔慰金など)を確認しておくことも大切です。先ほどのケースで、貯金が500万円あるなら保障は2,000万円に減らすこともできます。
> __ポイント2 安価な商品を選ぶ__
保険料を安くするには勤務先で団体加入できる生命保険や共済、ネット生保やダイレクト生保などがおすすめです。「価格.com」などの比較サイトでも、保険料の比較をすることができます。生命保険は死亡したらいくらとシンプルなため、値段で決めてもよいのです。
例えば、35歳男性で死亡保障2,000万円(10年更新型)なら、月3,000円前後から探すことができます。たばこを吸わずに、保険会社が定めた健康状態などの基準を満たす場合は、さらに割引を受けることができる商品もあります。
このように、必要な保障を安価にかけることにより、生命保険料を大幅にカットすることが可能です。医療保険も基本的に考え方は同じで、保障の内容を最低限に絞り、安価な保険商品を選ぶことで節約ができます。投資をしている人はコストにシビアな人が多いので保険を合理化している人が多いです。
現在、加入している生命保険が高かったという場合は見直しを検討しましょう。その場合は必ず新しい保険契約が有効になってから、古い契約を解約するようにしましょう。いかがでしょうか。大きな固定費を削減することによって、毎月投資に回すお金を増やすことができます。
外資系投資銀を経てFPとして独立。著書に『少子高齢化でも老後不安ゼロ シンガポールで見た日本の未来理想図』、監修本にジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中ロ朝鮮半島の激変から人とお金が向かう先を見抜く』 (講談社+α新書)など。
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