6月といえば、お給与から控除される住民税が更新される月です。住民税は昨年度の所得を元に計算します。昨年、ふるさと納税をした人は正しく減税されているか確認したいですね。ふるさと納税をまだ試したことがない人も、住民税更新の6月をきっかけに、その仕組みをおさらいしてみましょう。
先日、「ふるさと納税って、1万円寄附して2,000円を除く8,000円が控除されるっていうけど、所得控除だから、実際の減税額は収入によって違うんですよね」と尋ねられました。
減税につながる控除には、確かに”所得控除”と”税額控除”の2種類があり、どちらの控除なのかで効果が変わってきます。
所得控除では、控除する金額を所得から差し引き、その後税率をかけて税額を計算するため、減税額は控除額×税率となります。一方、税額控除では、税額から直接控除額を差し引くため、減税効果は税額控除の方が高くなります。
ご質問くださった方のように意識されることは、大切なことなのですが、ふるさと納税は、実は税額控除に近い動きとなります。
ふるさと納税の減税は3つのステップで計算されます。先ほどの1万円の寄附を年収400万円、所得税率5%の人が行った場合で考えてみましょう。住民税の税率は所得に関わらず一律10%です。
確定申告をした場合は所得税分は還付金として戻され、住民税は翌6月からの住民税額が減額される形で戻されます。
確定申告を不要とするワンストップ特例制度を利用した場合は、すべて住民税の減額として戻されます。
なお、3.の減税分は住民税所得割額の2割までという条件があります。これが、効果的にふるさと納税を行うための上限額が「住民税の概ね2割」と言われる理由です。
近年のふるさと納税では、お礼の品合戦になっていることから、自治体からのお返しの品は納税額の3割を上限とするようにと、4月に総務省から要請が出ました。
制度の趣旨は地方活性化のため、お祝いの品がかえって負担になる事態を避ける狙いがあります。一方で、工夫を凝らし税収を増やすことに成功していた自治体にとっては複雑に感じる側面もあるかもしれません。
家庭を基準に考えると、本来住んでいる自治体に支払うはずだった住民税の一部(約2割)を他の自治体に納税することで返礼品を得るため、どうしても所得が高い人が有利な制度となる側面もあります。
しかし、各家庭単体で考えると、返戻率の上限が3割になったとしても、やはり恩恵のある制度といえます。
ここまで事例で見てきた、1万円寄附をした例でも、実質2,000円の自己負担で3,000円相当のお品を受け取れるのであれば、単純に得をしますね。なお、実質2,000円の自己負担は1/1~12/31の1年間で寄附をした総額で計算します。
複数の自治体に寄附をしたとしても、「全額控除されるふるさと納税額」の範囲内であれば、自己負担額は2,000円にとどまります。例えば年間合計5万円の寄附をして、3割にあたる1.5万円相当のお品を受け取っても実質の自己負担額は2,000円ということはありえます。
(総務省 ふるさと納税ポータルサイトより抜粋)
なお、応援したい自治体に納税のみして、返礼品を辞退することも可能です。東日本大震災や熊本自身でも、ふるさと納税を通して多くの寄附が集まるという動きもありました。
得をするかもという気持ちから入って税の仕組みを理解するのも良いですし、自分の税金をどう使われると嬉しいのか考えるきっかけにしてもよいでしょう。自分の考えにあわせて、制度を上手に使えるとよいですね。
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。
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