アメリカでは、だいぶ前から、日本のFXブームを象徴するある人物の名前が話題になっています。その人物とはミセス・ワタナベ。毎日、家事の合間にFXで稼いでいるカリスマ主婦、それがミセス・ワタナベです。といってもミセス・ワタナベは実在する人物ではありません。主婦としての仕事に一切手は抜かず、FX投資にも真剣に取り組む勤勉な日本人個人投資家のことです。
一方、日本には、ミセス・ワタナベ以上に活躍している女性がいることをご存じですか。その人物の名前はミセス・ミキタニ。彼女はポイントサービスの裏の仕掛け人として楽天市場で大活躍しています(と私は思っています)。
楽天株式会社は、ネットショッピングの楽天市場をはじめ、旅行、電子書籍、デジタルコンテンツ、銀行、保険、証券などを扱っており、読者の中にも楽天を利用している人は多いでしょう。しかし楽天の中核事業はなんといってもEC(電子商取引)であり、ネットショッピングの楽天市場です。楽天市場には楽天スーパーポイントが貯まる仕組みがてんこ盛りになっています。
常にいろいろなキャンペーンが行われていて、ポイントが効率よく貯まるようになっています。もちろん、キャンペーンではポイントが2倍~5倍になりますし、突然に期間限定のボーナスポイントが提供されることもあります。
また、雨の日はポイント2倍といった日もあります。さらに、楽天傘下のプロ野球の楽天ゴールデンイーグルスやJリーグのヴィッセル神戸などの試合結果とポイントをからめてもいます。貯めたポイントはもちろん楽天市場で使えますし、楽天銀行や楽天証券でも使えて非常に使い勝手がよく、人気になっています。
このように楽天市場の大きな特徴は、いわば主婦目線のきめの細かいサービスにあるといえます。もし、三木谷浩史会長兼社長が陣頭指揮をとっていたらもっと武骨なものになっていたはずです。楽天の経営の中枢部には三木谷会長兼社長を補佐するミセス・ワタナベならぬミセス・ミキタニがいるのではないか(おそらく奥さんのこと)、そんなふうに考えてみたくなるほどです。
ですから、私は、女性目線でやってきたから、今の楽天の成功があると思っています。そう信じているので、以前、品川シーサイドにあった楽天本社を訪れた時にマーケティングの幹部に、「すごいご婦人がいらっしゃるのではないですか?」とそれとなく聞いたのですが、「いや、社員一丸で決めています」の一言で片づけられました。おそらくミセス・ミキタニの存在は社外秘なのでしょう。
1997年に創業した楽天はネットショッピングを核に急成長し、ここ数年の業績も右肩上がりで伸びています。たとえば、2012年度に約4000円億円だった売上収益は2015年度には約7135億円に大幅に増えています。
EC(イー・コマース)流通総額(取扱高)は2兆7000億円(2015年)に達します。創業20年足らずで1兆円の売り上げが視野に入ったということは驚くべき成長率です。
その大きな要因の一つが、創意工夫にあふれたポイントの施策にあったわけです。ポイントに関するじつに多彩なプログラムでおトクを提供し、顧客を引き付けました。その結果、ネットリテラシーの高い優良な顧客をしっかりつかんで、囲い込みに成功したのです。
楽天スーパーポイントの動きをよく見てみると、貯めたポイントが外に出ていくことはなく、楽天経済圏のなかをぐるぐる回っていて、顧客もそれで満足している、というのが大きな特徴です。そんな仕組みがあって継続的な売り上げの伸びが可能になったのです。
そのポイントの可能性をさらに拡大したのが、2014年10月にスタートした「Rポイントカード」を使った共通ポイントです。これまでは楽天グループで貯まるスーパーポイントはネット中心のポイントでしたが、初めて現金払いで貯まる、使える共通ポイントが発行されたために、楽天グループ内外での買い物が、さらに使いやすくお得になりました。昨年11月には「Rポイントカード」という名称を「楽天ポイントカード」に変えて、より統一感をもたせることができました。
それでは、楽天がなぜリアルに出て行かざるをえなかったのか、その話をしましょう。
消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。ウェブサイト:<a href="http://iwataworks.jp" rel="nofollow" target="_blank">上級カード道場</a>
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