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コロナの影響で妻の給与がダウン。夫の給与も減りそうな予感...副収入+支出の見直しで危機に対応するには?-  FPに聞く資産形成シリーズ
将来に備える

コロナの影響で妻の給与がダウン。夫の給与も減りそうな予感...副収入+支出の見直しで危機に対応するには?- FPに聞く資産形成シリーズ

武藤貴子
2020
11
12

お悩み:新型コロナウイルスの影響で、私の給料が月収にして6~7万円ほどダウンし、世帯月収は50万円に。夫は現状あまり変わりませんが、これから影響がありそうです。知人からライターの仕事をもらい、月3万円弱の副収入がありますが、今後、ボーナス減額や夫の収入にも影響が及ぶことを懸念しこれを機に支出もきちんと見直して節約したいです。ただ、できるだけ生活が不便になる節約は避けたいと思っています。また、減収となり年金も心配です。出来る範囲で老後に向けて貯金がしたいです。自分にはどのような方法がいいのでしょうか。


家族構成:夫/会社員(33)、妻/会社員(29)、子ども(2)
手取り年収:夫/約33万円、妻/約23万円

加入年金:夫/厚生年金、妻/厚生年金
退職金:夫/あり、妻/あり

現在の保有資産は以下の通り
普通預金:約700万円(家族口座)
学資保険

ある1ヶ月の支出は以下の通り

1ヶ月の支出

※「子供」費には貯金分が含まれる

【今後想定しているライフイベント】
・住宅購入(具体的な時期は未定)
・子どもの進学(大学を予定)

【想定している年間イベント】
・今年は未定(旅行、帰省など)

お金のプロからのアドバイス

固定費をメインに徹底して見直すと

新型コロナウイルスによる家計への悪影響は大きく、収入の減少やボーナスカット、減額などに直面する家庭が急増しています。「不足分の収入を穴埋めするために副業を始めた」という声もこれまでにないほど多く聞かれます。一方、手っ取り早い家計防衛策としては、やはり「家計の見直しによる節約」が挙げられます。収入が減っても、無駄な出費を抑えられれば、今までとほぼ変わらない生活を送ることも可能なのです。ただし、節約を成功させるには、以下のようなポイントを抑えましょう。

①見直しは固定費から

見直しの基本は、「毎月決まった金額が出ていく固定費」から始めるのがコツです。固定費は、一度見直して無駄を省けば、何もせずともその節約効果が続くからです。また、固定費は比較的高額なため、まとめて削減できれば一気に月数万円の節約ができる場合もあります。

②優先度の低い(こだわりのない)項目から

家計の中でも、自分にとって優先度の低い費目から節約しましょう。優先度の低い費目であれば、プラン変更や使う金額を少なくしても、あまり気にならずストレスになりにくいからです。

③変動費には予算を設ける

一度見直せばいい固定費とは違い、食費のような変動費には毎月の予算を設定し、その範囲内でお金を使いましょう。

以上のような点から相談者の家計を見ると、車の維持費、通信費、保険料という3つの固定費を見直し、食費、子ども費に予算を設定することである程度の支出が減らせそうです。ここでは、3つの固定費の節約ポイントについて解説していきます。

・車の維持費
車は、所有しているだけで維持費がかかります。毎月の主な維持費としては、駐車場代、ガソリン代、高速道路料金などですが、それ以外にも年間では保険料、税金、車検代、メンテナンス費用などもあり、それらを含めると1年で30万円以上もの出費となります。公共交通機関の少ない地域では、車は移動の足として必須です。一方で、車の利用頻度が低い場合は車を手放し、カーシェアリングやタクシーを代用することで費用を大幅に抑えられる場合もあります。車を手放してもさほど不便でないという相談者の家庭では、車の維持費に月約12,000円かかっていますが、これをカーシェアリングやタクシー利用に変えることで、4,000円程度節約できる可能性があります。また、毎月の貯金の中から保険料や税金等の分をプールしていることを考えると、月約2万円程度節約できる計算です。

・通信費
スマートフォンや自宅のプロバイダ料金などの通信費は、今や家計を圧迫しかねない固定費の一つです。特にスマホは、家族全員が1台ずつ保有という家庭も少なくなく、これだけで月数万円の出費になることもあります。一般的に、スマホの利用料金は月7,000円程度(端末料金含まず)で、相談者の家庭も夫が約7,500円、妻が約7,000円です。

これを、機種本体はそのままに格安SIMの通信会社に変更すると、月3,000~4,000円、場合によっては5,000円も安くできることがあります。仮にそれぞれが4,000円安いプランに乗り換えたとすると、8,000円の節約になります。

・保険料
毎月支払う保険料の中にも、ムダが潜んでいる場合があります。加入している保険の内容を見て、自分に必要ない保障を購入していないか確認してみましょう。たとえば、相談者は夫婦で医療保険に手厚い保障を付けています。しかし、病気やケガになっても自己負担は3割、高額療養費制度も使える中、過剰な保障は必要ありません。また、ほとんどの病気やケガは通院のみで済む一方、民間の医療保険は、原則的に、通院は保障の対象外です。医療保険を入院と手術に備える最低限の保障にすれば、夫婦合計で月5,000円は節約できる計算になります。

一方で、生命保険(死亡保険)の解約は、保障がなくなることや解約返戻金の金額などを踏まえ、慎重に行う必要があります。

固定費の見直しでだけでも、月約3万3,000円の節約となり、加えて食費や子ども費に予算を設けると月4万円程度、無理なく節約することができそうです。妻の副収入と節約分を合わせれば、それ以外は収入減前とほぼ変わらない家計も可能となります。

老後資金の貯め方にはどんな種類があるのか

次に、老後資金の準備について考えていきます。「自分に合った方法で貯金がしたい」という相談者ですが、そもそも老後資金の貯め方にはどのような方法があるのでしょうか。代表的なものを簡単にご紹介します。

・個人年金保険

個人年金保険とは、60歳や65歳といった一定の年齢まで保険料としてお金を積み立て、老後は、積み立てたお金を年金として受け取る仕組みの保険です。個人年金保険には、「確定年金」「有期年金」「終身年金」といった種類があり、年金の受取期間や、その期間中、被保険者が死亡した場合、遺族が年金を受け取れるかどうかなどの条件が異なります。

・iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoとは、掛金を自分で運用して積み立て、60歳以降に受け取る仕組みの私的年金です。掛金は月5,000円から1,000円単位で決めることができます(被保険者の種別、企業年金の有無などによって掛金額の上限は異なる)。運用商品は、投資信託や定期預金、一部の保険などから選択できます。iDeCoは節税効果が非常に優れており、効率よく老後資金を準備するのに適した制度といえます。

・つみたてNISA

つみたてNISAとは、積立投資専用の「NISA(少額投資非課税制度)」のことです。投資の王道である「長期・積立・分散投資」を少額からできる制度で、一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益が非課税となります。つみたてNISAは、毎年の非課税枠(上限は年間40万円)から得られた投資の利益に対しては、最長20年間非課税になる特徴があります。投資可能期間は2018年から2037年で、最大800万円の非課税投資枠が使えることになります。

iDeCoとつみたてNISAで老後資金3000万円を作る

では、老後資金はどの方法で準備するのが良いのでしょうか。「個人年金保険のような保険商品にこだわりたい」という人以外は、税制優遇のメリットが大きいiDeCoの活用をおすすめします。なお、公的年金以外に必要となるリタイア後の金額は人によってさまざまですが、夫婦二人の世帯なら、退職金と合わせて3,000万円程度必要と言われています。昨年、「老後資金2,000万円問題」が話題となったように、今の現役世代は自助努力で老後資金を用意しておかなければならず、そのためには少しでも早く行動することが求められているのです。

実際に自分で用意する金額を割り出すには、将来の年金受取額(見込額)や退職金等のデータ(※)、老後の生活費、病気や介護に備えるお金等を用いて計算します。今回は、相談者の年金受取額(見込額)や退職金等の情報がないため、相談者の希望を汲んだうえで、老後資金として夫婦で3,000万円を貯めるとしてシミュレーションをしてみました(自分で用意する老後資金の詳細な計算式は前回の記事をご参照ください)。より節税効果の高いiDeCoで毎月の上限額(夫は月20,000円、妻は月23,000円)まで掛金を積み立て、それを補う形としてつみたてNISAも併用するとします(iDeCo:妻はこれまでの年収をもとに計算)。

※年金については、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」に利用登録すれば、年金見込額の試算や定年後の働き方などの条件にもとづく年金額のシミュレーションを行うことができます。将来もらえる退職金の金額を知るには、会社の年金基金の担当者や、人事、総務などに直接問い合わせてみましょう。


<iDeCo>

夫:年収500万円 積立期間27年 毎月の積立額20,000円 運用利率3%で計算
妻:年収450万円 積立期間31年 毎月の積立額23,000円 運用利率3%で計算


夫婦でiDeCoを用いて積立を行うと、合計では2,405万5,534円を貯められる可能性があります。目標の3,000万円まではあと600万円弱です。これをつみたてNISAで準備すると、毎月いくらを何年積み立てればいいのでしょうか。

たとえば、積み立て可能な2037年までに毎月2万円を同じく運用利率3%でつみたてNISAで積み立てると、元本と運用益の合計は530万7,267円となります。シミュレーションでは、毎月6万3,000円を老後資金のために拠出できれば、定年までに約3,000万円の老後資金を自分で準備できることになります。なお、退職金等の分を差し引けば、毎月の積立はこれより少ない金額で済む可能性があります。

節約や副収入の確保で家計を守ろう

コロナで収入が減り、さらには、自宅で過ごす時間が多くなることで新たな出費が増えている家庭も見受けられます。しかし、打撃を受けた家計は、支出削減で立て直すことができます。ぜひ一度、固定費を全般的に見直し、省ける支出がないか確認してみましょう。また、今は気軽に始められる副業が増えています。大手クラウドソーシングサイトなど信頼のおけるサイトを利用し、空き時間に取り組んでみてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール

武藤貴子

ファイナンシャル・プランナー(AFP)。1983年埼玉県生まれ。会社員時代、お金の知識の必要性を感じ、AFP(日本FP協会認定)資格を取得。二足のわらじでファイナンシャル・プランナーとしてセミナーやコラム執筆を行う。独立後は、起業のコンサルティング業務とともに、執筆や個人マネー相談、メディア出演などを中心に活動中。著書に『いちばん稼ぎやすい簡単ブログ副業』(河出書房新社)がある。

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