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FinTechって結局、どう便利なの?
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FinTechって結局、どう便利なの?

風呂内亜矢
2018
11
19

金融(Finance)と技術(Technology)の造語であるFinTech。家計簿アプリに決済、投資など、カバー範囲は多岐にわたります。今回は、FinTechが家庭にどんな恩恵やサービスをもらたしてくれているのか考えてみます。

1カ所に情報をまとめるアカウントアグリゲーション

どこまでがFinTechにあたるのかの定義は難しいものの、一般的には、ベンチャー企業発のサービスなどがFinTechと呼ばれることが多いようです。一方で、銀行や大手企業内にもFinTech対策のための部門が設立され、提携も多いことなどを考えると、大手の取り組みをFinTechと呼ばないことにも違和感があります。

私たち消費者としては、お金に関することが技術で便利になっていれば、FinTechと呼んで良いのではないでしょうか。そうした意味では、今は珍しくなくなったインターネットバンキングなどもFinTechと言えそうです。

一部のインターネット銀行では、従来からアカウントアグリゲーションを使ったサービスを展開してきました。アカウントアグリゲーションとは、アカウントをとりまとめる技術のことで、1つの家計簿アプリの中で複数の銀行やカードなどの情報を一元管理できるようになることなどを実現しています。

それぞれのアプリやサービスに都度アクセスしなくても、1つの場所に情報をとりまとめることができる。これはFinTechの恩恵の1つです。

より記録、分析しやすく

従来のクレジットカードだけにとどまらず、スマホをかざして払う非接触決済やQRコードでの決済など、多様な決済手段が生まれています。現金ではなく、電子決済を行うことで、消費の記録は残りやすく、分析もしやすくなっています。

個人としては、お賽銭や自動販売機など、従来であればレシートがもらえず消費の記録を残しにくかった費目も、使い方によっては自動的に記録することができ、家計簿アプリなどを使って我が家の消費を分析することもやりやすくなりました。お財布いらずの決済は、荷物を持っている時に鞄から財布を探す煩わしさをなくし、すぐに取り出せるスマートフォンで支払いを終えることも実現しています。

企業としても、消費データを分析し、より求められる商品やサービスを追求することができます。これは、個人にとっても、より満足できるお買い物の体験につながりやすくなり、嬉しい側面もありそうです。

最近では、健康増進型保険といって、日頃から意識的によく歩いている人や、健康診断を定期的に受けている人が保険料の割引が受けられる商品なども販売されています。データを細かく分析することで、従来よりも個人に合った商品を手にできる可能性が高まります。

私が興味を持っているのは、FinTechによって「金銭的にメリットが受けられる暮らし方」といった視点が出てくるかもしれないという側面です。日頃から優良な消費者としての振る舞いを積み重ねることで、割引や、良い条件の提案などが受けられるかもしれない。これも、データをしっかり記録でき、その量が膨大でも分析することができる技術があるからこそ期待される部分といえます。

必要なものを必要な分だけ。小口化もFinTech

以前のコラムでも1日だけ加入できる保険をご紹介しました。投資も100円から行えたり、ポイントでも行えたりと、小口化が進んでいます。まとまった金額を準備しないと手にできなかったものでも、ほんのちょっとだけ、欲しい分だけ買いたい、という要望を叶えている点も、FinTechが個人にもたらしている恩恵と言えるでしょう。

小口の契約1つ1つを人が処理した場合では、一定のコストがかかるため、まとまったボリュームを買ってもらわなければ赤字になってしまいます。ところが、消費者がスマートフォンなどを使って必要な手続きを自分で行うことができれば、事務コストを下げることができ、少量だけ買ってもらっても採算がとれるケースもでてきます。

家計簿アプリ、決済、投資、などのあらゆる分野に、情報の統一、記録・分析、小口化といった切り口でより消費者の生活を便利で豊かにしようとする試みがなされています。関わる分野・業界が増えていくことも予想されているため、今後もその影響は広がっていくと考えられます。

筆者プロフィール

風呂内亜矢

ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。

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