共通ポイントのJRE POINTによって駅ビルのポイントカードを統合したあとのJR東日本の狙いは、ビューカードやSuicaとの連携です。現在、ビューカードで貯まるビューサンクスポイントやSuicaで貯まるSuicaポイントをJRE POINTに一本化してしまおうというわけです。
まず発行枚数が5000万を超えているSuicaのSuicaポイントを取り込むのではないかと考えられます。Suicaポイントを貯めるにはSuicaを持つだけではだめで、「Suicaポイントクラブ」の会員にならなければなりません。
Suicaポイントクラブに加入してからSuicaを使って決済(加盟店で買い物)をするとポイントが貯まるわけです。Suicaポイントクラブの会員数は約230万人。5000万枚という発行枚数からすると意外に少ない。Suicaポイントがあるということを知らなかったり、会員登録の手続き(住所や生年月日、メールアドレスなどの個人情報の提供が必要)が面倒だったりして会員にならないSuicaの利用者が多いのかもしれません。
Suicaポイントは、駅ナカや街ナカの加盟店(自販機やニューディーズ、ベッカーズや街ナカのイトーヨーカドー、紀伊国屋書店、ヤマト運輸など)を利用すると貯まります。利用できる店舗はたくさんあっても、ある関係者いわく「Suicaは決済があまりにもスムーズで?使ってる感?がないので、レシートにポイント表示が入るようにしたりするなど、改善の余地がある」といいます。
そこで、まず、Suica入会の時にSuicaポイントへの入会も義務づけるようにして会員増加を図ろうとしているようです。Suicaにポイント機能が標準装備されれば、黙っていてもポイントサービスは広がります。
そのためにも、今より簡単に登録ができて、JR利用者の多くが「Suicaを持ったらSuicaポイントクラブに入ったほうがトクだ」と思うようになり、ポイントがいろいろなところで貯まっていると実感できる施策を打とうとしているようです。
Suicaポイントの次はいよいよビューサンクスポイントとの統合です。ビューカードを使って公共料金の支払いをしたり買い物をしたりすると1000円につき2ポイント(5円相当)貯まり、Suica定期券やオートチャージで、1000円につき6ポイント(15円相当)が貯まり、JRの鉄道利用者にとっては利用価値の高いクレジットカードです(会員数は500万人弱)。
JR東日本では、この二つのポイントを統合することによって、2020年ころを目途に1100万枚のJRE POINTを発行する予定です。Suicaは電子マネーとしてのユーザーの購買履歴に加えて、駅の乗降履歴も記録されています。クレジットカードであるビューカードは、与信のために通常のポイントカードに比べて詳細で精度の高い会員情報を持っています。
駅ビルカード、Suica、クレジットカードの三つが一体となったポイントサービスであるJRE POINTから得られるビッグデータは、これまでにないマーケティング戦略を可能にします。それだけ大きな可能性を秘めたポイントサービスであるといえるでしょう。
消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。ウェブサイト:<a href="http://iwataworks.jp" rel="nofollow" target="_blank">上級カード道場</a>
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