今、最も注目を集めているキーワードの一つに「キャッシュレス」があります。すでに身近に感じている方も多いかもしれません。今回は、そもそも、キャッシュレスとは何かを振り返りつつ、キャッシュレスへの取り組みとして最近よく聞く「スマホ決済」についても詳しく説明したいと思います。
キャッシュレスとは、電子マネーやクレジットカードを利用して、現金(キャッシュ)を使わずに支払いをすることです。もちろん、最近台頭してきているスマホ決済も含まれます。
世の中がキャッシュレス決済の波に乗ろうとしている背景には、日本政府が打ち出した「未来投資戦略2018」が影響しています。というのも、この戦略で2027年6月までにキャッシュレス決済比率を現状から倍の4割程度とすることを目指していましたが、期限を2025年と2年前倒しにしました。韓国、中国など近隣諸国は、キャッシュレスが進んでおり、いまのままでは日本が取り残されるという危機感があったからです。
2017年は約2869万人と多くの外国人が日本に訪れていますが、2020年に開催される「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」でも多くの外国人が訪れることが予想されます。
これまで以上に日本としても、支払いツールを多様化し、利便性をアップする必要があるため、政府がキャッシュレス決済を後押ししているのです。
次に、キャッシュレスについて具体的に説明していきましょう。まず、最も代表的なものは「クレジットカード」でしょう。世界中どこでも利用できる仕組みをつくって運営しているのが、国際ブランドと呼ばれる大手クレジットカード会社です。
現在、VISA、マスターカード、ダイナースクラブ、アメリカン・エキスプレス、ディスカバー、中国銀聯カード、そして日本のJCBを加えた7社があります。これらの国際ブランドと契約して、日本で国際ブランドが利用できるクレジットカードを発行しているのが、三井住友カードや三菱UFJニコス、クレディセゾン、オリエントコーポレーション、楽天カード、ビューカードなどです。これらを一般カード会社と呼び、そこが発行するカードを「プロパーカード」と言います。
クレジットカードは、カードを利用した後に、銀行口座から引き落としされる後払いです。ポイントは1,000円で1Pつくものや、100円で1Pつくものなど様々です。
人によっては、クレジットカードよりも日常的に利用しているのが「電子マネー」です。
例えば、主にJRや地下鉄とその周辺で利用できるのが、鉄道会社が発行する交通系電子マネーのSuicaやPASMO、またICOCAやPiTaPaなどです。
コンビニやスーパーなどで利用できるのが流通系電子マネーの楽天Edy、WAON、nanaco、そしてiDやQUICKPayなどがあります。コンビニではSuicaなども使えるので、現金を使う機会が大幅に減っている人も多いと思われます。
電子マネーは、レジ脇の端末にタッチするだけで支払いが終わるので利便性も高く、ポイントがつく場合も多いので、日常的な買い物ではクレジットカードよりも利用する頻度は高まっているはずです。
クレジットカードと同様に国際ブランドがついていながら、買い物すると自分の銀行口座などから即時引き落としされるブランドデビットも注目されています。
メガバンクやネット銀行、そして地方銀行など多くの金融機関が出しています。
ブランドデビットとは、銀行がJCBやVISAといった国際ブランドと提携して出しているカードです。中にはキャッシュカードと一体化したものもあります。クレジットカードは、銀行口座に残高がなくても利用できますが、ブランドデビットは、口座の残高の範囲内で利用するので、使い過ぎの心配がありません。
また、クレジットカードを利用するには審査がありますが、ブランドデビットは入会審査がなく、基本的に15歳あるいは16歳以上であればつくることができます。
ブランドデビットを利用すると、ポイントがついたりキャッシュバックされるものもあるので、お得という点でもメリットがあります。
スマホ決済サービスとは、スマホ一つで支払いができるサービスです。現在、ApplePayやGooglePayをはじめ、楽天スーパーポイントが獲得できる楽天ペイやチャージして利用できるLINEペイなどがあります。
店頭での利用方法には2種類あります。まず、店頭のリーダーにかざすタイプです。iD、QUICKPay、Apple PayやGoogle Payなど、利用したい支払い方法を伝えて、レジ脇のリーダーにかざすことで支払いが完了します。
そしてQRコード決済です。QRコード決済には2つの決済方法があります。事前にユーザーが専用アプリをスマホにダウンロードし、決済時にアプリのQRコードを表示させて、店員に読み取ってもらう方法が一つです。もう一つは、店側が表示するQRコードやバーコードをユーザーが専用アプリのカメラを使って読み取り決済する方法です。
楽天ペイはコード表示と読み取り、LINE Payはコード表示と読み取りのほかオンライン払いも可能です。多くの場合、クレジットカードが登録できるので、利用すればクレジットカードのポイントがつくなどのメリットがあります。
これだけ支払いツールが充実していると、何で決済するのか迷ってしまいがちです。
クレジットカードは一括払いが基本ですが、分割払いやボーナス払い、そして後からリボ払いなどにすることもできるので、比較的高額な買い物をするときに向いています。
電子マネーは、支払いがスピーディーに済むということもあり、コンビニやスーパーなど、日常での少額決済に向いているでしょう。
ブランドデビットは、利用してから約1カ月後に引き落とされるクレジットカードとは異なり、即日に引き落としされます。簡単に家計管理がしたい、クレジットカードを持ちたくないけど便利に買い物したいという場合に向いていると思います。
スマホ決済は、財布やクレジットカードなどを持ち歩く必要がなく、安全性や利便性に優れています。また、大局的に見れば、iPhoneの端末を持っているならApple Pay、Androidの端末ならGoogle Pay、楽天スーパーポイントをためている人なら楽天ペイ、使い過ぎを気にしているならチャージして決済するLINE Payなどのように、それぞれの人の好みに対応することができるので、身軽に外出したいと思っている場合に向いています。
日頃、自分はどんな買い物をどこでしているのか振り返ってみれば、自然と利用すべき支払いツールが見えてきそうです。キャッシュレス決済で、現金では得ることが難しいお得と利便性を体感しましょう。
消費生活ジャーナリスト。1952年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院修士課程修了後、月刊誌記者などを経て独立。流通、情報通信、金融分野を中心に活動する。ウェブサイト:<a href="http://iwataworks.jp" rel="nofollow" target="_blank">上級カード道場</a>
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