前回は{: rel="nofollow"}{: target="_blank"}確定拠出年金には企業型と個人型があること、個人型の加入対象者が2017年から広がったことで注目を集めていることをお伝えしました。今回は、加入対象者が広がった個人型確定拠出年金(以下愛称:iDeCoイデコ)のメリットについて考えていきます。
iDeCoにはいくつかの税制優遇制度があります。中でもメリットが大きいのが積み立てた(拠出した)金額が全額所得控除されるという性質です。例えば年収400万円、所得税率5%の人が毎月2万円、年間24万円拠出したとすると、24万円を所得から控除し税金の計算をすることになります。その結果、所得税が1.2万円(24万円×5%※所得税率は収入が高くなると上がる)、住民税が2.4万円(24万円×10%※住民税率は収入に関わらず一律10%)安くなります。iDeCoで定期預金を選択し運用による増減がなかったとしても、年間で拠出した金額の15%の利息(単利)が得られるような効果があるということになります。
さらに運用中は非課税であるというメリットもあります。通常の証券口座で投資信託を売却して利益を得たり、定期預金で利息を受け取ると利益に対して約20%の税金がかかります。iDeCoでは運用中の利益は非課税となるため、本来利益を得るつど差し引かれる税金も運用に回すことができ、増やしやすいといえます。
例えば毎月2万円、10年間、平均的に年利2%で運用できた場合、年1回、利息などを受け取るたびに、課税された場合の残高は約260万円となります。一方、iDeCoのように非課税であれば残高は約266万円になります。運用成績が高い場合や、運用年数が長い場合はより差が開くことになります。
原則、拠出したお金は60歳まで引き出しできません。この特徴は注意点ともいえますが、60歳以降に確保したいお金を準備するためには有効な性質です。
通常の貯金でも直面する問題ですが、すぐに引き出せるところや、生活費の入出金に使っている口座にお金が残っていると、どうしても「お金がこれだけ残っている」という意識になってしまいがちです。
それを避けるために、お給料日に貯金専用口座にお金を先によけたり、積立定期を行うなどの「先取り貯金」が貯金には有効といわれます。使うより前に貯金分を先にとるため「先取り貯金」といいます。
iDeCoでは原則60歳まで引き出しができないため、貯金用口座や、積立定期預金を行うよりもさらに強制力の高い先取り貯金を遂行することができます。
しかし、60歳まで預けたまま、運用したままで問題ない金額を拠出するよう注意する必要はあります。また、加入期間が10年未満だと受給開始が可能となる年齢は表のように引き上がります。
注1:掛け金の拠出はせず、運用方針だけを決める立場のことを運用指図者といいます。
公的年金では、今支払う保険料は、今給付されている年金の原資となる賦課(ふか)方式を基本としています。物価の変動や社会情勢を反映するための仕組みではありますが、自分のお金を自分で管理したいという観点だとわかりにくい側面もあります。iDeCoは、自分の手で積み立て、自分の考えで運用方針を決められる積立方式で「私的年金」を有利に築くための制度となっていす。
セカンドライフに向けて準備することを決めている金額については、iDeCoを利用することで税制の優遇が受けられ、強制力を活かすこともできメリットが大きいです。一方で運用を続けるために必要な手数料や、受取時に考えておきたいポイントもあります。次回はそうした注意点について整理します。
ファイナンシャルプランナー(CFP認定者/1級ファイナンシャル・プランニング技能士)、宅地建物取引士。1978年生まれ。岡山出身。 IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円で自宅用としてマンションを衝動買いしたものの、物件価格以外にも費用がかかることを知り、あわててお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞などで「お金に関する情報」を精力的に発信している。 著書に『その節約はキケンです~お金が貯まる人はなぜ家計簿をつけないのか~』(祥伝社)等がある。
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