2017年8月3日(木)、虎ノ門ヒルズフォーラムにておこなわれた、東洋経済新報社×セールスフォース・ドットコム共催のイベントに、マネーツリー代表のポールが登壇しました。「すごいベンチャーカンファレンスthe 2nd 急成長のSaaSベンチャーから学ぶ」と題された本イベントは、SaaS(サース)ベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者を対象にしたもの。SaaS(Software as a Service)とは、ソフトウェアを利用する際、ユーザーの社内にソフトウェアを導入するのではなく、ソフトウェアの機能をネットワーク経由で利用する形態のことで、世界的に広がりをみせています。今回のイベントにも多くのベンチャー企業関係者が参加し、会場は満席でした。
虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催
ポールは「実践者が直伝 これがSaaSベンチャー急成長の方程式」というセッションに登壇しました。セールスフォース・ベンチャーズ日本代表の浅田慎二氏がモデレーターを務める中、3名のSaaSベンチャー経営者がパネルディスカッションを行いました。ポールとともに登壇したのは、クラウド会計ソフトのfreeeを運営するfreee株式会社創業者・代表取締役の佐々木大輔氏と、マニュアル作成ツールTeachme Bizを展開する株式会社スタディスト代表取締役の鈴木悟史氏。
左から浅田慎二氏、佐々木大輔氏、鈴木悟史氏、ポール
まずは各企業が事業内容やビジョンを紹介しました。ポールからは個人向け(以下「B2C」)の個人資産管理・家計簿アプリ「Moneytree」(注)はもちろん、エンタープライズ(法人)(以下「B2B」)向けの金融インフラプラットフォーム「MT LINK」(注)について説明しました。「Moneytree」は140万人弱のアカウント数を抱えており、「MT LINK」は大手銀行や大手会計ソフトウェア会社など、26社(2017年8月3日時点)に導入されています。「マネーツリーは成長期の玄関に辿り着いていると思います」とポールは自社紹介を締めくくりました。
(注)Moneytree、MT LINKについては各種ホームページをご覧ください。
続いて、本セッションの本題「SaaSベンチャー急成長の裏にある方程式」を探るべく、3人の経営者が、それぞれの企業がどのように成長してきたのか、営業組織・重視する経営指標の変遷などを紹介しました。
まずポールからは、マネーツリー創業時から現在に至るまでの営業組織の変遷について紹介させて頂きました。
B2Cの個人資産管理・家計簿アプリ「Moneytree」から始まり、「MT LINK」が軌道に乗り、B2Bからの収益が見込めるようになった最近に至るまで、マネーツリーの営業組織は事業形態によって変わってきたことを紹介しました。
その中で特徴的なのは、「カスタマーサクセス」という部門です。従来の「カスタマーサポート」から更に一歩踏み込み、Moneytreeのゲスト(マネーツリーでは、アプリのユーザーをゲストと読んでいます)やMT LINKのクライアントの利益拡大を手助けするべく、カスタマーサクセスではマネーツリーのサービスを使うためのノウハウやテクニックを徹底的にアドバイスしています。
「課金型であるSaaSのサービスは、導入のハードルが低い一方、ユーザーが離れやすいビジネスでもあります。それを防ぐためにも、顧客内で起きている様々な問題をカスタマーサクセスチームが積極的にケアする、コンサルティングサービスが必要です」とポールが説明しました。
マネーツリーの営業組織について説明
モデレーターの浅田氏によると、アメリカではカスタマーサクセスという職種の認知度がどんどん高まってきているとのこと。日本国内でも、単にサービスを提供するだけでなく、ユーザーと二人三脚で利益拡大を目指し、積極的にサービスを利用してもらえるような姿勢が重要になってきそうです。
続いて、各社が重視する経営指標について紹介がありました。3社とも、創業初期から急成長を遂げた現在に至るまで、ビジネスの段階に応じて、そして提供するサービスによって、重視する経営指標は異なるようです。
共通していたのは、売上につながる要素がきちんと因数分解され、整理されているということ。モデレーターの浅田氏からも、「ビジネスをやる上での経済効率性には決まった数式があります。それに基づいて、売上の裏側にあるデータを議論していけば、ビジネスモデルは必ず成功します。きちんと売上が因数分解できている会社は成長します。」とコメントがありました。
マネーツリーの経営指標について説明。
セッションの最後には、会場参加者からのQ&Aコーナーも設けられました。「サービスの価格設定はどのように行っているのか?」という質問に対し、ポールが「コストとバリューのすり合わせが大切。顧客数を獲得したいがために価格を低く設定しすぎると、本気ではない顧客が現れてしまいます」と答えると、他の登壇者達も同意。freee株式会社・鈴木氏は「本気で必要としている人たちに、適切な価格で、というのが大切」と述べていました。
また、「製品を作るプロセスは、商品先行なのか、市場先行なのか?」という質問に対しては、3社とも「ユーザーの声は集めつつ、すぐに何でも取り入れない」との答えが。ユーザーの声をそのまま取り入れるのではなく、顧客にとって本当に重要なものは何なのかを徹底的に議論した上で計画的に製品に搭載していく、という考え方は3社ともに共通しているようです。
Q&Aコーナーの様子
今回のセッションを通して、「急成長したSaaSベンチャー」の3社とも、ぶれない理念、顧客の利益最大化に努める姿勢、徹底的に考え抜くといった点が共通しているように感じました。私たちマネーツリーも、引き続き本当にユーザーのためになるサービスを提供して参ります。